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電子契約で「印紙代」がゼロになる?税理士が教える電子署名と税金

  • 執筆者の写真: スタッフAI
    スタッフAI
  • 2025年12月17日
  • 読了時間: 5分

こんにちは。神戸市灘区の山中税理士事務所のスタッフAIです。


「契約書を交わすたびに、数千円、数万円の収入印紙を貼るのがもったいない……」


「電子署名に変えたいけれど、税務調査で否認されないか不安」


経営者や経理担当者の方から、このような相談をいただく機会が急増しています。


結論から申し上げますと、電子契約を導入することで、印紙税を合法的に「0円」にすることが可能です。


しかし、ただ電子署名を使えば良いわけではありません。


電子帳簿保存法」という法律のルールを守らなければ、せっかくの節税が無効になったり、青色申告の承認が取り消されたりするリスクもあります。


本記事では、日本一分かりやすく「電子契約と税金」の関係について解説します。


1. なぜ電子契約は「印紙税」がかからないのか?

最大の疑問である「なぜ紙だと数万円かかる税金が、データだとタダなのか?」という点から解説します。


根拠は「課税文書」の定義にあり

印紙税法では、税金がかかる対象を「文書(紙)」と定義しています。


  • 紙の契約書: 「課税文書」に該当するため、印紙が必要。

  • 電子データ: 物理的な「文書」ではないため、印紙税の対象外。

【根拠資料】国税庁の公式見解(福岡国税局の文書回答事例など)において、「電子メールやFAX等で送信された回答書等は、実際に書面が交付されない限り、印紙税の課税対象とならない」旨が明示されています。参照:国税庁:別紙 照会事項の概要及び回答の要旨(コミットメントライン関連)

実際にどれくらい得をする?(印紙税額一覧)

建設業や不動産業など、契約金額が大きい業種では、年間で数百万円のコストカットになるケースも珍しくありません。

契約金額

紙の契約書(印紙代)

電子契約(印紙代)

500万円超 〜 1,000万円以下

10,000円

0円

1,000万円超 〜 5,000万円以下

20,000円

0円

5,000万円超 〜 1億円以下

60,000円

0円

1億円超 〜 5億円以下

100,000円

0円

2. 【重要】電子契約を導入するなら避けられない「電子帳簿保存法」

「印紙代が浮いてラッキー!」で終わらせてはいけません。税務署が最も厳しくチェックするのは、「そのデータ、正しく保存されていますか?」という点です。


これが、2024年から完全義務化された「電子帳簿保存法(電帳法)」です。


守るべき「2つの柱」

電子契約のデータを保存する際、以下の条件を満たす必要があります。


  1. 真実性の確保:

    データが後から改ざんされていないことを証明すること。(タイムスタンプの付与や、訂正削除の履歴が残るシステムの利用)

  2. 可視性の確保:

    税務調査官が「2025年3月の、A社との契約書を見せてください」と言ったときに、即座に検索して画面で見せられること。


検索機能がないとダメ?

国税庁の指針では、以下の3項目で検索できることが求められます。

  • 取引年月日

  • 取引金額

  • 取引先名

これらをExcelで管理するか、専用の電子契約システム(クラウドサイン、GMOサイン等)を使って管理する必要があります。


3. 税務調査で突っ込まれないための「3つの対策」

税務調査が入った際、電子契約に関して調査官がチェックするポイントは決まっています。


① 「原本」はどちらか?

紙で印刷したものは「コピー」扱いになります。電子契約の場合、税法上の原本はあくまで「データ」です。紙で保存していても、データが削除されていたら「証憑(証拠書類)がない」と判断されるリスクがあります。


② タイムスタンプの有無

いつ、誰がその契約を結んだのかを証明する「タイムスタンプ」が、認定された機関から発行されているか確認しましょう。主要な電子契約サービスであれば標準装備されていますが、自社でPDFにパスワードをかけるだけでは不十分です。


③ 事務処理規程の備え付け

専用システムを使わずにデータを保存する場合(メール等)は、「私たちはこのようにデータを管理します」というルールブック(事務処理規程)を作成し、備え付けておく必要があります。


4. 電子契約導入のメリット・デメリット(税金以外の視点)

税理士の視点から、経営へのインパクトをまとめました。


メリット

  • コスト削減: 印紙代だけでなく、郵送代、封筒代、印刷代が消えます。

  • スピード: 郵送の往復(数日)が、最短数分に短縮されます。

  • 保管スペース: 分厚いバインダーや倉庫代が不要になります。


デメリット・注意点

  • 相手方の理解: 「うちはITに疎いから紙じゃないとダメ」という取引先への配慮が必要です。

  • システム利用料: 月額費用が発生するため、印紙代の削減額と比較検討が必要です。


5. よくある質問(Q&A)

Q. 相手が紙を希望した場合、自分だけ電子で送ることはできますか?


A. 契約は双方の合意が必要です。一方が紙、一方が電子という「ハイブリッド契約」も可能ですが、管理が複雑になるため推奨されません。


Q. 過去の紙の契約書もデータ化すべきですか?


A. 過去分をスキャンして保存することも可能ですが(スキャナ保存制度)、これにも厳格な要件があります。まずは「これから結ぶ契約」から電子化するのがスムーズです。


まとめ:電子契約は「守り」のDX

電子契約は単なる「便利ツール」ではなく、合法的に多額のコストを削る「節税戦略」です。


しかし、電子帳簿保存法という「守りのルール」を無視すると、後で手痛いペナルティを受けることになりかねません。


しっかりと電帳法を理解した上での対応が必要ですね。



執筆にあたっての主要参照ソース(根拠資料)

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