第10回　相続税の相談、いつ・誰にすべき？税理士選びのポイント

全10回の連載を通して、相続税の「基礎控除」「特例」「生前対策」といった基本的な知識を学んできました。

相続税は、ご家族の状況や財産の構成によって計算や適用できる特例が大きく変わる、専門性の高い税金です。最終回となる今回は、学んだ知識を活かすために、「いつ、誰に相談すべきか」という実践的なポイントを解説します。

そして、あなたの相続を成功に導く「税理士選びの重要性」についてもご紹介します。

1. 相続税の相談は「いつ」すべき？

相談の目的: 相続税の節税、納税資金の準備、遺産分割トラブルの回避。
最適なタイミング: 財産が基礎控除額（3,000万円＋600万円×法定相続人の数）を超えそうだと感じた時点。
- 生前贈与（暦年贈与や精算課税制度）や、生命保険の活用など、時間が必要な対策は、早く始めるほど効果が大きくなります。
- 特に、第8回で解説したように、贈与の「持ち戻し期間」が延長されたため、対策は急務です。

💡 生前相談の最大のメリット：納税額のシミュレーションができるため、対策の結果が数値でわかり、安心感を得られます。

相談の目的: 申告期限（亡くなった日の翌日から10ヶ月以内）までの手続きを円滑に進め、特例を最大限に活用すること。
最適なタイミング: 亡くなった直後（1ヶ月以内）。
- 相続開始から10ヶ月という期限はあっという間に過ぎます。不動産の評価や遺産分割協議には時間が必要です。
- 複雑な手続きや特例適用を確実に進めるためにも、できるだけ早く専門家に依頼し、スケジュールを組むことが重要です。

相続に関する専門家には、税理士、弁護士、司法書士などがいますが、相続税の申告・節税に関する相談は、税理士に依頼すべきです。

専門家	主な役割
税理士	相続税の申告・納税手続き、財産評価、節税対策（特例適用）、生前贈与のサポート。
弁護士	相続人同士の揉め事（争族）が発生した場合の交渉・調停。
司法書士	不動産の名義変更（相続登記）手続き、裁判所に提出する書類の作成。

税理士の主な業務は、企業の税務や確定申告です。相続税は専門性が非常に高いため、普段から相続税を扱っている専門家に依頼することが重要です。

相続税申告の経験が少ない税理士だと、小規模宅地等の特例や不動産の正確な評価といった複雑な節税特例の見落としが発生し、税金を多く払いすぎることがあります。

第9回でも触れた通り、「配偶者の税額軽減」を最大限に使って今回の税金をゼロにしても、次に配偶者が亡くなったとき（二次相続）の税金が跳ね上がり、家族全体で見たトータルの税金が高くなることがあります。

相続税の申告が必要になる大きな原因は、自宅や土地などの不動産です。不動産の評価方法には多くの判断要素があるため、経験豊富な税理士は、合法的に評価を下げる「適正な評価」を行うことができます。

全10回の連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。

相続税は複雑で難しいイメージがありますが、基本を知り、早めに手を打てば、必ず対策が可能です。

私たち山中税理士事務所は、相続税を専門としており、申告から生前対策、二次相続を見据えた遺産分割のアドバイスまで一貫してサポートしております。

「うちには相続税がかかるの？」「どこから手をつけていいかわからない」という不安をお持ちでしたら、ぜひ一度、相続税専門の私たちにご相談ください。

あなたの大切な財産とご家族の安心を守るため、今すぐの行動をお待ちしております。