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🏠👨‍👩‍👧‍👦 相続は「争族」になる?笑顔が消える前に知ってほしい対策と税理士の役割

  • 執筆者の写真: スタッフAI
    スタッフAI
  • 2025年12月12日
  • 読了時間: 8分

今回は、相続と争族について相続税を絡めて簡単なストーリー形式でお話します(フィクションです)。


物語とはいえ、実際に起こっても全くおかしくないお話ですので、参考にしていただければと思います。



序章:ある家族の物語 - 相続という名の試練


これは、ごく普通の家庭で起こった、実際にあり得る話です。


ストーリー「笑顔が消えた日」

主人公は、中堅企業の元役員だった父・健一さん(75歳)と、専業主婦の母・和子さん(72歳)。


そして、長男・大輔さん(48歳)と長女・美香さん(45歳)という、誰もが羨むような仲良し家族でした。


健一さんが亡くなり、遺されたのは立派な自宅(評価額4,000万円)と、老後のために貯めた預金5,000万円。


合計9,000万円の相続財産です。健一さんが遺言書を残さなかったため、四十九日を過ぎた頃、家族は財産の分配について話し合いを始めます。

財産の種類

評価額

自宅 (土地・建物)

4,000万円

預貯金

5,000万円

合計

9,000万円

最初は和やかに始まりましたが、すぐに話はこじれます。


長男・大輔さんの主張(感情論):

「俺は将来、母さんの面倒を見る。それに長男だから、自宅は俺がもらうのが当然だ。」


長女・美香さんの反論(公平性の追求):

「私は結婚で家を出たけど、遠方から手伝いに来て介護も手伝った。自宅は兄さんがもらってもいいけど、代わりに預金を多めに、平等に分けてほしい。」


母・和子さんの不安(生活の維持):

「私には生活があるから、夫の年金で生活してきたこの預金が頼りなの。老後の生活資金だから、預金は全て私がもらいたい。」


家族会議は、すぐに感情的な口論へと発展し、話し合いは完全に停止してしまいました。


【家族の危機】

この状況は、もはや単なる「税金」や「財産の分け方」の問題ではなく、法的な紛争の入り口です。しかし、家族の誰もが、相続税の申告期限が迫っていること、そしてこのままでは特例が使えなくなり、税金が急増するリスクを理解していませんでした。


第1章:揉め事の背景にある「税」と「ルール」


1. 相続財産はプラスだけじゃない!

相続で引き継ぐのは、お金や不動産などのプラスの財産だけではありません。


税務上、これらの財産を正しく評価することが、相続税を計算する上での最初のステップです。

  • プラスの財産(積極財産): 現金、預貯金、不動産(土地・建物)、株式、生命保険金など。

  • マイナスの財産(消極財産): 借金、住宅ローン、未払いの税金、葬式費用など。


マイナスの財産は、プラスの財産から差し引くことができるため、これを債務控除と言います。


相続税の計算を正しく行うためにも、マイナス財産を漏れなく把握することが重要です。


2. 相続人になれるのは誰?

法律で定められた財産を相続する権利を持つ人を法定相続人と言います。


常に相続人になる人:

  • 配偶者(夫や妻): 亡くなった人から見て、法律上の夫または妻は常に相続人になります。

その他の相続人(順位がある人):

順位

相続人

第1順位

子ども(亡くなっていれば孫)

第2順位

直系尊属(父母、祖父母)

第3順位

兄弟姉妹(亡くなっていれば甥・姪)

ルール:

  1. 配偶者は常に相続人。

  2. 順位は早い人が優先されます。

  3. 子どもが先に亡くなっている場合、その子(孫)が代わりに相続します(代襲相続)。


3. 揉めるのは「財産総額5,000万円以下」が多い

「争族」は巨額の財産を持つ人の話だと思われがちですが、統計はそうではありません。


裁判所に持ち込まれる遺産分割事件のうち、遺産総額5,000万円以下のケースが全体の約74.2%を占めています。

遺産総額

占める割合 (令和4年)

1,000万円以下

33.7%

1,000万円超~5,000万円以下

40.5%

根拠資料: 令和4年 司法統計年報 家事事件編 P46


なぜ揉めるのか?財産が少ないからこそ、分け方に互いに譲れなくなります。特に、健一さんの自宅のような不動産(分けにくい財産)の評価が関わると、「自宅をどう分けるか」で感情的な対立が深まってしまうのです。


📚 コラム1:税理士が登場する「最適な」タイミングと役割

健一さんの遺産総額9,000万円は、相続税の基礎控除額(4,800万円)を大きく超えているため、相続税の申告が必要です。


この申告は相続開始から10ヶ月以内に行わなければなりません。


【税理士が介入できない壁】 相続人同士の話し合いがまとまらない場合、法的な手続きに進むことになりますが、税理士は、すでに揉めている遺産分割協議の「代理人」として介入し、交渉を行うことはできません(弁護士法で禁止されています)。


【税理士の役割:冷静な数字で家族を現実に引き戻す】 しかし、税理士は税務代理の専門家として、以下の客観的な数字を提供することで、家族の話し合いを正常化させる役割を担います。

  1. 相続財産の正確な評価: 自宅の不動産評価(路線価など)や、全ての財産を厳密に評価し、「総額いくらの相続税がかかるのか」という客観的な数字を提示します。

  2. 特例不適用リスクの明示: 遺産分割協議が申告期限までにまとまらないと、自宅の小規模宅地等の特例配偶者の税額軽減が適用できなくなり、相続税が数倍に跳ね上がるリスクを明確に伝えます。

  3. 節税シミュレーションの提供: 複数の遺産分割案について、それぞれ「かかる相続税額」を計算して提示します。

税理士は、「法的に誰が正しいか」ではなく、「税務的に最も有利で、かつ家族が合意しやすい数字」という冷静な判断材料を提供することで、行き詰まった家族の話し合いを「感情論」から「具体的な経済合理性」へと引き戻すことができるのです。



第2章:揉め事を解決し、節税も実現する税理士の役割


話し合いが行き詰まり、このままでは相続税が増えてしまうことに気づいた家族は、相続税の申告の専門家である税理士に相談することにしました。


1. 感情論をストップさせる「節税のシナリオ」

税理士は、相続税の申告という観点から、家族にシミュレーションを提示しました。


(1) 自宅の評価を劇的に下げる

  • 税理士の提示: 「奥様(和子さん)が自宅を相続し、特例を適用すれば、自宅の評価額4,000万円が80%減額され800万円になります。これにより、相続税の総額が大きく下がります。 ただ、申告期限までに分割協議をしないととこの節税は基本的に使えません。」


この客観的な節税効果は、感情論に凝り固まっていた大輔さんと美香さんに「話し合いを急ぐべき理由」を与え、和子さんが自宅を相続するという方向で合意する大きなきっかけとなりました。


(2) 二次相続まで見据えた財産の分配

配偶者の税額軽減は、配偶者が相続した財産について、1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い方まで、相続税がかからないという特例です。


  • 税理士の提示: 「和子さんがこの特例を最大限に活用し、財産の多くを相続すれば、今回の相続(一次相続)の相続税はほぼゼロになります。しかし、和子さんが亡くなった時(二次相続)にはこの特例は使えず、子どもたちにかかる相続税が急増する可能性があります。今回は、二次相続を見据えて、預金の一部を子どもたちに分配する方が長期的には有利です。」


この指摘により、目先の税金だけでなく、将来の家族全員の負担を公平に分けるという意識が芽生えました。


2. 争いを予防する「生前対策」の提案

税理士は、健一さんが生前に対策をしていれば、家族は揉めずに済んだと説明し、今後の生前対策の重要性を伝えました。


  • 遺言書作成のサポート: 遺言書は法定相続分に優先する最強の対策であり、遺言書作成にあたり、税理士は遺留分(最低限の取り分)に配慮しつつ、節税効果の高い分配案を文書化するサポートをします。

  • 計画的な生前贈与: 生前贈与は、生前に財産を少しずつ移転させることで、将来の相続財産を減らし、相続税の節税を図る対策です。暦年課税制度を活用し、贈与税基礎控除額(110万円)の範囲内で毎年計画的に贈与することで、非課税で財産を移転できます。


📈 統計コラム:相続税申告における税理士の存在

国税庁の統計(令和4事務年度)によると、相続税の申告が必要な人のうち、約85.8%が税理士に依頼しています。

区分

依頼割合 (令和4事務年度)

税理士に依頼した割合

85.8%

納税者自身で申告した割合

14.2%

根拠資料: 国税庁 令和4事務年度における相続税の調査等の状況


結論: 相続税の申告は、自宅(不動産)の評価特例の適用判断など、非常に専門性が高い作業です。多くの方が税理士の専門的なサポートを必要としていることが分かります。税理士は、紛争の代理はできませんが、税務の観点から家族の合意形成を強力に後押しすることができるのです。


結び:残された家族のためにできること

健一さんの家族は、税理士から提供された客観的な数字と節税のメリットを共有することで、最終的に円満な合意に至り、無事に相続税の申告を終えることができました。


相続は、財産を引き継ぐだけでなく、家族の絆が試される瞬間です。


「争族」を防ぐことと、「相続税を適正に申告・納税すること」は、車の両輪のように不可欠です。感情的な対立を防ぎ、税務上のリスクを回避するためにも、税理士事務所に早めに相談し、専門的な視点から生前対策や遺産分割のシミュレーションを行うことが、家族に残せる最大の愛と言えるでしょう。


相続税の申告、不動産の評価、二次相続対策、生前贈与、遺言書作成サポートなど、相続に関するご不安があれば、いつでも専門家にご相談ください。


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