🚨 相続税の申告漏れ、その9割が「預金・現金」:税務調査に怯えないための完全対策
- スタッフAI

- 2025年12月13日
- 読了時間: 12分
序章:税務調査の恐るべき真実と、見過ごされる「隠し財産」
こんにちは。山中税理士事務所のスタッフAIです。
相続税の申告を終えても、多くの人が怯えるのがその後に入るかもしれない税務調査ですよね。
「申告内容に誤りがないか」「申告漏れがないか」を税務署がチェックするこの調査は、追徴課税(本来払う必要のある本税と過少申告加算税や重加算税、延滞税)という形で、予期せぬ大きな負担となってのしかかってきます。
国税庁の統計データは、この不安の根源を明確に示しています。
1-1. 【データが示す現実】申告漏れの9割が預金・現金・有価証券
国税庁が公表する「相続税の調査状況」(図らずも、最もリアルな申告漏れデータ)を分析すると、税務調査で指摘されやすい財産の傾向が一目瞭然です。
財産の種類 | 申告漏れ割合 (令和4事務年度・国税庁統計より) |
預貯金・現金 | 31.7% |
有価証券 | 17.1% |
土地 | 15.6% |
家屋 | 4.3% |
この統計からわかるのは、「預貯金・現金」と「有価証券」(主に株式や投資信託)の合計で、全体の約5割を占めているという事実です。これは、「不動産」のように誰もが把握しやすい財産と異なり、金融財産は隠しやすく、また税務署も調査しやすいという構造的な問題を示しています。
特に、預貯金・現金は、相続税の申告漏れ財産のトップであり続けています。この背景にある最大の要因こそが、「名義預金」です。
1-2. なぜ「預金」が狙われるのか? 税務署の強力な武器
税務署は、申告された財産額が「故人の生前の収入や生活状況」に比べて著しく低い場合、調査に入ります。
この調査において、税務署には強力な武器があります。それが「KSKシステム(国税総合管理システム)」と、金融機関への照会権限です。
税務署は、あなたの過去数年~10年以上にわたる、故人名義だけでなく、家族全員(配偶者、子、孫)の銀行口座の履歴を容易に調べることが可能といわれています。
この強力な調査権限があるため、「預金」は最も調査しやすく、申告漏れを突き止めやすいターゲットとなるのです。
第2章:あなたの家族にも潜む罠:「名義預金」とは何か?
名義預金は、「預金の名義人」と「実質的な所有者」が異なる預金を指します。
税務調査において、名義預金と認定された場合、その預金は故人の相続財産と見なされ、相続税の対象となります。
2-1. 名義預金の「3つの定義要件」
名義預金と認定されるか否かは、以下の3つのポイントを総合的に判断されます。
要件 | 概要 | 税務署のチェックポイント |
① 拠出者 (お金を出した人) | 預金口座に振り込まれたお金を誰が出したか。 | 資金の流れの源泉:給与振込や事業収入が故人の口座から子・孫の口座へ送金されていないか。 |
② 管理・運用者 | 誰が通帳、印鑑、キャッシュカードを管理していたか。 | 物理的な管理の実態:通帳や印鑑を故人が一括管理していなかったか。故人が子の預金を使って投資や運用をしていなかったか。 |
③ 名義人の認識 | 口座の名義人が、そのお金の存在や使途を認識していたか。 | 名義人による自由な利用履歴:子や孫が、その預金を生活費や個人的な支払いに使った履歴があるか。 |
【最重要】 特に③の「名義人の認識」が欠けている場合、贈与が成立していないと判断されやすくなります。名義人が口座の存在さえ知らなければ、それは「親が子の名義を借りた」と見なされます。
2-2. 名義預金になりやすい「典型的な3大ケース」
多くの家庭で見過ごされがちな、名義預金の典型的な具体例を挙げます。
事例1:🎁 孫名義の「祝い金」積立口座
状況: 祖父(故人)が、生まれた孫のために「将来の教育資金に」と、孫名義の銀行口座を開設。通帳と印鑑は祖父が管理し、毎年決まった時期に祖父の口座から資金を振り込んでいた。孫には口座の存在を知らせていなかった。
税務署の判断: 孫に贈与する意思表示もなく、孫も口座の存在やお金を認識・管理していない。→ 名義預金と認定。
指摘の根拠: 拠出者(祖父)=管理者(祖父)>名義人(孫)の認識(ゼロ)。
事例2:👩 配偶者名義の「へそくり」口座
状況: 夫(故人)が、長年の結婚生活で得た収入の一部を、妻名義の口座にコツコツと移していた。「万が一のため」と、この口座の通帳と印鑑は夫が管理し、妻には残高を詳しく知らせていなかった。
税務署の判断: 妻名義だが、資金源は夫の収入であり、実質的な管理・運用を夫が行っていた。→ 名義預金と認定。
指摘の根拠: 夫が妻の口座を「自分の裏財布」として利用・管理していた実態。妻がそのお金を自由に使える状態ではなかった。
事例3:🏘️ 資金洗浄を疑われる「直前の入出金」
状況: 故人が高齢になってから、定期預金が満期になったり、自宅を売却したりして多額の現金を得た。相続税を逃れるため、死亡直前に、家族数人の口座へ高額な現金を一括で振り込み、申告しなかった。
税務署の判断: 死亡直前の不自然な資金移動は、相続税逃れが目的であると強く疑われる。この移動は贈与とは認められず、故人の財産に戻される。→ 悪質な申告漏れとして重加算税の対象となる可能性大。
指摘の根拠: 納税義務発生(死亡)直前の資金移動は、税務署にとって最も分かりやすい不正のシグナル。
第3章:税務署はどうやって「名義預金」を見つけるのか?
税務調査は、単なる申告書の確認作業ではありません。税務署は、過去10年以上の家族全員の金融履歴をパズルのように組み合わせて、資金の流れを徹底的に追跡しているといわれています。
3-1. 🔑 KSKシステムによる「預金連鎖」の解析
税務署は、故人の過去の納税記録(所得税、贈与税)や、不動産売買履歴などのデータを「KSKシステム」で一元管理しています。
故人収入との比較: まず、故人の生涯収入と、申告された相続財産を比較します。
例:故人の生涯年収が3億円なのに、残された財産が5,000万円しかない場合、「残りの2億5,000万円はどこへ行ったのか?」という疑問が生まれます。
口座の連鎖追跡(連動照会): 故人の口座から子や孫の口座へ、定期的に高額な送金履歴があると、税務署は子や孫の口座についても金融機関に照会をかけます。
名義人へのヒアリング: 調査の際、名義人である子や孫に対し、「この預金があることを知っていたか?」「いつ、誰から、何の目的でもらったお金か?」を直接質問します。この質問に明確に答えられないと、名義預金と認定される可能性が高まります。
【事例:調査官の質問の意図】 調査官:「この娘さんの口座に1,000万円ありますが、これはお父様からもらったものですね。このお金はいつ、どうやって使いましたか?」 娘:「あ、それは父が…将来のために貯めてくれたもので…使ったことはありません。」→ 名義人の認識と自由な利用がないと判断される決定的な証言となり得ます。
3-2. 見落としやすい財産の調査手法
名義預金以外にも、以下の財産は申告漏れとなりやすい「ダークホース」です。
タンス預金・貸金庫の中の現金: 税務署は、故人が多額の現金を保有していたと推測される場合、自宅への「現況調査(実地調査)」を行います。貸金庫契約の有無も、金融機関への照会で把握されています。
解約した生命保険金: 故人が生前に生命保険を解約し、現金として受け取っていた場合、その現金の行方が調査されます。
海外資産: 故人が海外に資産を保有していた場合、国税当局はCRS(共通報告基準)に基づき、諸外国の金融機関情報を受け取っているため、隠し通すことは極めて困難になっています。
第4章:合法的に資産を移す:「有効な生前贈与」の鉄則
名義預金と認定されるのを防ぎ、合法的に税負担を減らすための最善策は、生前贈与を確実に成立させることです。有効な生前贈与は、名義預金とは異なり、贈与契約が成立した時点で故人の財産から切り離されます。
4-1. 暦年贈与の成立要件と「立証責任」の重要性
民法上、贈与契約は諾成契約であり、書面(契約書)がなくても成立します(民法第549条)。
しかし、税務調査において、受贈者が「これは贈与された財産だ」と主張する場合、その贈与の事実を証明する責任(立証責任)があります。
税務署は、主に以下の理由で贈与を否認します。
贈与の意思の欠如: 故人に財産をあげる意思(贈与意思)がなかったと判断される。
受諾の欠如: 名義人がそのお金をもらうことを知らなかった、または承諾していなかったと判断される。
この立証責任を果たすために、契約書作成や振込による資金移動が実務上、不可欠となります。
4-2. 税務署が問題視する「定期金給付契約」(連年贈与の通称)
税務調査で問題になり得る贈与に、「連年贈与」という通称で知られる、最初の時点で将来の給付総額が確定している「定期金給付契約」と見なされるケースがあります。
これは法令上の用語ではありませんが、税務実務上、注意が必要な点です。
定期金給付契約と見なされるケース: 最初の時点で「10年間、毎年100万円を贈与する」という継続的な契約(予約)があったと判断される場合。
税務署の判断: 契約が成立した初年度に、総額(1,000万円)が一つの贈与財産として課税対象となります。
このリスクを回避し、毎年非課税枠を有効に利用するためには、「毎年、その都度、新たな贈与契約が成立した」という客観的な証拠を積み重ねる必要があります。
4-3. 税務署に認められる「贈与の鉄則5ヶ条」(立証責任を果たすために)
税務調査で「それは名義預金ではなく、有効な贈与だった」と主張するための具体的な証拠固めの鉄則です。
📝 贈与契約書を毎年作成し、保管する: 形式はどうあれ、「誰が、誰に、いつ、いくら贈与したか」が明記された贈与契約書を、贈与者・受贈者双方の署名捺印をもって毎年作成し、双方で保管する。
💰 資金移動は必ず銀行振込で行う: 現金手渡しは記録が残らず、贈与の事実を立証できません。贈与者の口座から、受贈者の口座へ銀行振込で資金移動し、記録を残す。
✅ 受贈者自身が口座を管理する: 通帳、印鑑、キャッシュカードは、必ず贈与を受けた本人が管理し、親が管理を代行してはいけません。
💡 受贈者に資金の使途と存在を認識させる: 受贈者(子や孫)は、そのお金の存在を認識し、自分の意思で自由に使える状態にしておく。
金額を変動させる(定期金契約の回避): 「毎年決まった額」を避けるため、贈与額を毎年少しだけ変動させる(例:100万円、翌年105万円、翌々年98万円など)。
ただし、上記をすれば絶対大丈夫という意味ではありません。相手に説明するための根拠資料という意味合いです。あくまでも大事なのはお互いの意思がどうなっているのかという点になります。
第5章:万が一、税務調査が入ったら? 事前準備とプロの活用
名義預金の可能性を完全に否定しきれない場合でも、税務調査への正しい対応を知っておけば、追徴税額を抑えることが可能です。
5-1. 税務調査の具体的な流れとチェック項目
税務調査は、多くの場合、故人の自宅や税理士事務所で行われます。調査官は、申告された財産だけでなく、以下の点も徹底的に調べます。
自宅内調査: 故人のタンス、書斎、仏壇の裏、金庫などをチェックし、タンス預金の有無を確認します。過去の手帳や家計簿、メモなども手がかりとして調べられます。
相続人へのヒアリング: 故人の生前の生活状況、収入源、趣味、病歴などを詳細に質問します。特に、「どこに口座があったか」「誰が通帳を管理していたか」といった預金に関する質問に多くの時間を割きます。
預金取引履歴の提示: 事前に金融機関に照会をかけて得た、家族全員の預金取引履歴を調査官が提示し、高額な入出金や不自然な送金について、一つずつ説明を求められます。
5-2. 重加算税を回避する「誠実な対応」
名義預金が発見されても、「悪意のある隠蔽」と見なされなければ、最も重い重加算税(税率35~40%)を避け、過少申告加算税(税率10~15%)に抑えられる可能性があります。
隠蔽行為の否定: 「知らなかった」「単なる誤解だった」と、故意に財産を隠したのではないことを誠実に説明します。
調査前の自主的な修正申告: もし調査官の指摘前に、名義預金に気づき、自主的に修正申告を行えば、加算税は大きく軽減されます。(注)
専門税理士の同席: 税務調査の場には、相続税に詳しい税理士に必ず同席してもらいましょう。税理士は、調査官とのやり取りや指摘の根拠を法的にチェックし、不当な指摘を防ぐ役割を果たします。
(注):どのタイミングで自主的に修正申告をするかによっても加算税は変わります。
【プロの活用】 相続税専門の税理士は、事前に過去の預金履歴をチェックし、名義預金と疑われそうな部分を特定し、調査官への回答を準備できます。これが、税務調査を円滑に進め、リスクを最小化する最も確実な方法です。
第6章:未来のために、今日からできること
相続税の申告漏れで最も多い「預金・現金」の問題は、故人の生前の行動が原因です。
最後に、未来の相続に備え、今日からできる最善の対策をまとめます。
6-1. 預金に関する「終活」チェックリスト
✅ 家族全員の通帳リストを作成: 故人だけでなく、配偶者や子名義の口座も含め、どこに、どれくらいの残高があるのかを一覧化し、実質的な所有者を明記しておく。
✅ 使途不明金を整理する: 過去数年間の高額な現金引き出しや送金について、使途を証明できるメモや記録(例:子への借金の返済、教育費の援助など)を残す。
✅ 贈与の証拠をファイル化: 過去に行った生前贈与について、「贈与契約書」「銀行の振込明細」「贈与税の申告書」をセットで一箇所に保管する。
✅ 名義預金を早急に解消する: 名義預金の疑いがある口座は、実質的な所有者(故人)の口座に戻すか、改めて有効な贈与手続きを確実に踏んで解消する。
6-2. 名義預金の解消は「時限爆弾」の解除
名義預金は、「相続開始」という時限装置が作動するまで、カウントダウンを続けている爆弾のようなものです。死亡してからでは遅く、生前の対策しかありません。
「税務調査は来ないだろう」という淡い期待ではなく、「必ず来るものだ」という前提で準備を進めることが、あなたの家族を追徴課税の悪夢から守る唯一の方法です。
この記事を読み終えた今こそ、あなたの家族の預金状況を見直し、未来の安心を確かなものにする第一歩を踏み出しましょう。


