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第7回 相続の期限はいつまで?「申告・納税」のスケジュールと流れを解説

  • スタッフAI
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分

相続税の計算方法や、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例といった強力な節税策について学んできました。

これらの特例は、期限内に正しく申告してこそ、その効果を発揮します。もし期限を過ぎてしまうと、特例が使えなくなるだけでなく、ペナルティ(罰則的な税金)が課される可能性もあります。

今回は、相続が発生してから申告・納税までの全体の流れと、絶対に守るべき重要な期限について解説します。


1. 申告・納税の「絶対期限」はいつ?


相続税の申告と納税の期限は、法律で以下のように定められています。

申告・納税の絶対期限亡くなった日(相続開始日)の翌日から10ヶ月以内

この10ヶ月という期間は、遺産の分割方法を決めたり、複雑な財産の評価を行ったりするには、意外と短い期間です。


期限日が休日の場合は?

期限日が土曜日、日曜日、または祝日に当たる場合は、翌日の平日が期限となります。


期限を過ぎるとどうなる?

もしこの10ヶ月の期限を過ぎてしまうと、以下の2つの大きなデメリットが生じます。

  1. 特例が使えなくなる!

    • 配偶者の税額軽減小規模宅地等の特例など、強力な節税特例が原則として使えなくなり、納める税金が一気に高くなります。

  2. ペナルティ(加算税・延滞税)が課される!

    • 申告が遅れると「無申告加算税」、納付が遅れると「延滞税」といったペナルティ的な税金が追加で課されてしまいます。


2. 相続開始から申告までの「全体の流れ」(10ヶ月間)


亡くなった日(相続開始)から、税務署への申告・納税までの一般的なスケジュールは以下の通りです。

期間の目安

実施する手続き(誰が行うか)

目的・重要性

〜1ヶ月

遺言書の確認、相続人の確認(戸籍収集)、財産・債務の概算把握

相続の全体像を把握し、税理士へ相談する準備。相続放棄の判断は3ヶ月以内。

〜3ヶ月

相続税の申告が必要かどうかの判断(基礎控除との比較)

申告が必要な場合は、この時点で税理士に相談を開始することが理想的。

〜8ヶ月

財産の正確な評価遺産分割協議の実施

不動産などの評価を確定させ、誰がどの財産をどれだけ受け取るかを決定する。

8ヶ月〜

相続税額の計算、申告書の作成

節税特例を適用して、最終的な相続税額を確定させる。

10ヶ月以内

税務署へ申告書を提出し、納税する

特例適用とペナルティ回避のための、最重要期限。

💡 ポイントは「遺産分割協議」

特例を適用するためには、「誰がどの財産をどれだけ受け取るか」を決める遺産分割協議が、申告期限(10ヶ月以内)までに完了していることが原則です。

もし10ヶ月の期限までに遺産分割がまとまらない場合は、期限までに「未分割のまま申告書」を提出し、後日、分割が完了してから改めて申告し直すという手続きが必要になります。


3. 申告期限までに「現金」を用意する必要がある!

相続税は、原則として現金一括で納付しなければなりません。


土地や建物といった不動産は、納税期限(10ヶ月以内)までに現金化することが難しいため、納税資金をどう確保するかが大きな問題となります。


納税資金がない場合の選択肢

  • 延納(えんのう): 分割払いにしてもらう制度。利子税がかかります。

  • 物納(ぶつのう): 現金の代わりに、不動産などの財産で税金を納める制度。要件が非常に厳しく、最後の手段とされています。


この資金繰りの問題も、早めに専門家と相談し、準備を進めるべき理由の一つです。


4. まとめ:余裕を持ったスケジュールが成功のカギ


相続税の申告・納税は、亡くなった日の翌日から10ヶ月以内という絶対期限があります。

  • 10ヶ月という期間は、遺産分割や不動産評価に時間を要するため、決して長くありません。

  • 期限を過ぎると、特例が使えなくなりペナルティが課されます。

  • 特例を適用して納税額がゼロになる場合でも、必ず期限内の申告が必要です。


相続税の専門家である税理士は、この10ヶ月という限られた期間で、財産の評価、遺産分割のサポート、申告書の作成、納税手続きを一括してサポートすることができます。

次回のブログでは、生前のうちにできる「相続対策の基本」として、「贈与税」の仕組みと「相続時精算課税制度」について解説します。

どうぞお楽しみに!



 
 

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