第4回 死亡保険金・死亡退職金は相続税の対象?「みなし相続財産」をチェック!
- スタッフAI
- 3 日前
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これまでの連載で、相続税の計算は「プラスの財産」から「マイナスの財産」を差し引いた額が基礎控除を超えた場合に必要となることをお伝えしました。
では、ご家族が亡くなった際にもらえる「死亡保険金」や「死亡退職金」は、これらの財産に含めるべきでしょうか?
実は、これらの財産は法律上「亡くなった方の固有の財産」ではないものの、相続税の公平性を保つために「みなし相続財産」として課税対象に含まれます。しかし、これらには大きな節税メリットとなる非課税の枠が用意されています。
今回は、この「みなし相続財産」の仕組みと、非課税枠の活用法を解説します。
1. 「みなし相続財産」とは?
亡くなった方の財産ではないけれど...
「みなし相続財産」とは、文字通り「相続財産とみなされる(見なされる)」財産のことを指します。
これは、亡くなった方が直接持っていた現金や不動産ではありませんが、亡くなったことを原因として相続人(ご家族など)が受け取った財産のことです。
代表的なものは以下の2つです。
死亡保険金(生命保険金)
死亡退職金
これらの財産は、特定の受取人が指定されているため、遺産分割の対象とはなりませんが、相続税の計算上は「プラスの財産」に含めて計算する必要があります。
2. 死亡保険金には「非課税枠」がある!
死亡保険金の非課税枠の計算式
生命保険金は、残されたご家族の生活保障という側面が強いため、税法上、優遇措置が設けられています。
それが、相続人が受け取った保険金のうち、一定額までは相続税がかからないという非課税枠です。
生命保険の非課税枠}= 500万円×法定相続人の数
ポイント: この非課税枠を利用できるのは、法定相続人が受け取った保険金に限られます。
具体的な計算例
前回も使用した、法定相続人3人のケースで考えてみましょう。(配偶者と子ども2人)
家族構成 | 法定相続人の数 | 死亡保険金の非課税枠 |
配偶者と子供2人 | 3人 | 500万円 × 3人 = 1,500万円 |
もし、相続人が合計4,000万円の死亡保険金を受け取った場合、
非課税枠:1,500万円
課税対象となる金額:4,000万円 - 1,500万円 = 2,500万円
この2,500万円が、他のプラスの財産と合算され、基礎控除と比較されます。
💡 知っておきたい特例の例外:亡くなった方が保険料を支払っており、受取人が法定相続人ではない場合(例:内縁の妻など)は、この非課税枠は適用できません。また、相続を放棄した人は、保険金を受け取っても非課税枠の計算に含めることはできません。
3. 死亡退職金にも同じ非課税枠がある!
死亡退職金の非課税枠の計算式
死亡退職金(弔慰金や功労金として支払われるものも含む)についても、死亡保険金と同じ計算式・同じ考え方で非課税枠が適用されます。
死亡退職金の非課税枠= 500万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が3人の場合(非課税枠1,500万円)、死亡退職金が2,000万円支給されたとすると、1,500万円は非課税となり、残りの500万円が課税対象となります。
⚠️ 保険金と退職金は枠の「共通利用」ではない!
死亡保険金と死亡退職金は、それぞれ独立した非課税枠が用意されています。
保険金で1,500万円の非課税枠を利用し、
退職金でも別途1,500万円の非課税枠を利用できます。
これは、相続税対策において、生命保険の活用が生前対策の基本とされる大きな理由の一つです。
4. まとめ:みなし相続財産を活用しよう
今回のまとめです。
死亡保険金と死亡退職金は、「みなし相続財産」として相続税の計算対象となります。
しかし、それぞれに「500万円 × 法定相続人の数」という大きな非課税枠が設けられています。
この非課税枠は、法定相続人が受け取る場合にのみ適用されます。
この非課税枠を最大限に活用することで、相続税の課税対象額を大きく減らすことができます。特に生命保険は、生前から準備できる有効な相続対策の一つです。
次回のブログからは、いよいよ相続税を減らすための「特例(節税ルール)」について解説していきます。まずは、最も大きな節税効果が期待できる「配偶者の税額軽減」です。
どうぞお楽しみに!


