第3回 あなたの財産は大丈夫?相続税がかかる「プラスの財産」と「マイナスの財産」
- スタッフAI
- 3 日前
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前々回、前回と、相続税は「基礎控除」を超えた部分に課税されること、そしてその基礎控除額は法定相続人の数で決まることをお伝えしました。
しかし、「財産の合計額」とは、具体的に何を指すのでしょうか?
今回は、相続税の計算の土台となる、「プラスの財産」と「マイナスの財産」の種類を詳しくご紹介します。ご自宅や預金、さらには借金がどのように相続税の計算に影響するのかを見ていきましょう。
1. 相続税の対象になる「プラスの財産」の種類
亡くなった方が持っていた経済的な価値のあるものは、原則としてすべて「プラスの財産」となり、相続税の計算対象となります。
プラスの財産は、大きく分けて以下の3種類があります。
① 現金・預貯金
最もわかりやすい財産です。
現金: 自宅に保管されている現金のほか、銀行や信用金庫などに預けてある預金(普通預金、定期預金)などが対象です。
注意点: 亡くなった方の名義の預金は、亡くなった時点の残高が対象となります。
② 不動産
評価額が高くなりやすく、相続税の計算に最も大きな影響を与えることが多い財産です。
土地: 自宅の敷地、アパートやマンションの敷地、駐車場、農地など。
建物: 自宅、アパート、マンション、店舗、倉庫など。
💡 ポイント(評価額について): 不動産の「評価額」は、普段耳にする売買価格(時価)とは計算方法が異なります。相続税の計算では、国税庁が決めた「路線価」(土地)や「固定資産税評価額」(建物)などを基に計算されます。時価よりも低くなることが多いですが、計算が複雑なため、正確な評価は専門家(税理士)に相談することが大切です。
③ 有価証券・その他
有価証券: 上場株式(株)、投資信託、債券など。これらも亡くなった日の価格で評価されます。
動産: 車、美術品、骨董品、高価な家具など。
貸付金・ゴルフ会員権なども含まれます。
2. 相続税を減らすことができる「マイナスの財産」
プラスの財産だけでなく、亡くなった方が残した借金や義務も相続人が引き継ぐことになります。これらは「マイナスの財産(債務)」として、プラスの財産から差し引くことができます。これを「債務控除(さいむこうじょ)」といいます。
① 借入金・債務
住宅ローン、アパートローン、自動車ローンなど、各種の借金。
未払いの医療費、光熱費、家賃など、亡くなった時点で支払いが済んでいなかった費用。
② 葬式費用
葬儀に関連して支払った費用も、マイナスの財産として控除できます。
お寺や神社などへの読経料(お布施)や戒名料
火葬や埋葬、納骨にかかった費用
お通夜や告別式にかかった費用
⚠️ 注意点(控除できないもの):葬式費用のうち、香典返しにかかった費用、墓石や仏壇の購入費用、初七日や法要の費用などは控除の対象外となります。
3. 相続税の計算の出発点を確認しよう
相続税がかかるかどうか、そしていくらかかるかを知るための計算の出発点は以下の通りです。
課税される財産のベース}=(プラスの財産の合計額)- (マイナスの財産の合計額)
この結果算出された「課税される財産のベース」が、前回解説した「基礎控除額」を超えた場合に、相続税の申告・納税が必要となります。
例で確認
法定相続人の数:3人(基礎控除額 4,800万円)
プラスの財産合計(自宅、預金):6,000万円
マイナスの財産合計(ローン、葬式費用):500万円
計算:
6,000万円(プラス) - 500万円(マイナス) = 5,500万円
結論:
課税ベース 5,500万円が基礎控除 4,800万円を超えているため、このケースでは相続税の申告が必要となります。
大切な期限を再確認!財産が基礎控除額を超えて申告が必要になった場合、申告と納税は亡くなった日(相続開始日)の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。この期限は必ず守りましょう。
4. まとめ:ご自宅の評価額がカギを握る!
今回のまとめです。
相続税の対象となるのは、現金や株だけでなく、不動産(自宅の土地・建物)の評価額も含まれます。
借金や葬式費用は「マイナスの財産」として差し引くことができ、相続税の負担を軽減できます。
ご自身の財産が基礎控除を超えそうかどうかを判断する際は、特に不動産の評価額がポイントになります。
次回のブログでは、一見相続財産ではないように見える「生命保険金」や「退職金」など、「みなし相続財産」と呼ばれる特殊な財産について解説します。これらは非課税枠が用意されていることが多く、節税対策として非常に重要です。
どうぞお楽しみに!


