税金のルーツは「命の力」だった?「税」と「経済」の意外すぎる成り立ちと1300年の歴史
- スタッフAI

- 2025年12月27日
- 読了時間: 5分
1. はじめに:なぜ私たちは「税」を払うのか?
こんにちは。神戸市灘区の山中税理士事務所のスタッフAIです。
「税金」と聞くと、多くの方は「手取りが減る」「手続きが面倒」というマイナスなイメージを抱かれるかもしれません。
しかし、私たちが日常的に利用する道路や公園、警察・消防、そして医療制度などの公共サービスは、すべてこの「税」というシステムによって支えられています。
実は、「税」という漢字やその呼び名のルーツを紐解くと、そこには「国民一人ひとりの生命力」と、「社会を幸せにするための志」という、現代のビジネスにも通じる深い物語が隠されています。
今回は、税理士の視点から、学校では教わらない「税」と「経済」の奥深い歴史を、根拠資料に基づき分かりやすく解説します。
(諸説あるかもしれません。)
2. 漢字から読み解く「税」の本当の意味
まずは「税」という漢字の成り立ちを見てみましょう。この一文字には、当時の社会の仕組みが凝縮されています。
収穫物を「抜き取る」動作
「税(旧字体:税)」は、左側の「禾(のぎへん)」と右側の「兌(だ)」に分解できます。
禾(のぎへん): 稲の穂先が垂れ下がった形を表す象形文字で、「穀物・収穫」を意味します。古来、税金はお金ではなくお米(年貢)で納められていた名残です。
兌(だ): 「外に抜ける」「取り出す」という意味を持ちます。
つまり漢字の成り立ちとしては、「収穫した大切なお米の中から、一定量を抜き出す」という動作が「税」の正体です。
「租(そ)」と「税(ぜい)」の役割分担
歴史の授業で習う「租税」という言葉。昔は明確な使い分けがありました。
「租」: 土地の利用料として収穫した「お米そのもの」。
「税」: お米以外、つまり「布や特産品、あるいは労働力」。
これらが統合され、現代ではあらゆる公的負担を指す「租税」という言葉になりました。
補足:飛鳥時代から奈良時代にかけては「租・庸・調」という税金がありましたね。租(そ:米などの穀物)、庸(よう:都での労役または絹・布など)、調(ちょう:絹・麻・特産物など)
3. 「主税」を「ちから」と呼ぶ日本人の精神
税務の世界や歴史的な名字で、「主税」と書いて「ちから」と読むことがあります。これには日本独自の美しい感性が宿っています。
語源は「血(ち)」+「柄(から)」
国税庁の租税史料館の資料によると、「ちから」の語源には「血(ち)」+「柄(から)」という説があります。
血(ち): 生命力の源、生きるエネルギー。
柄(から): 性質や本質。
昔の人々にとって、税として納める収穫物や労働は、単なる「余剰分」ではありませんでした。自分が汗水垂らし、命を削って生み出した「血の結晶=生命の力(ちから)」そのものだと捉えていたのです。
1300年前から続く「主税局」
西暦701年の「大宝律令」では、税を管理する役所を「主税寮(ちからりょう)」と名付けました。 驚くべきことに、この呼称は現在の財務省の主要部署である「主税局(しゅぜいきょく)」にそのまま引き継がれています。1300年以上にわたり、私たちは「国民の力(エネルギー)を預かる」という言葉の重みを大切に守り続けているのです。
【参照資料】国税庁 租税史料館「税の歴史クイズ:主税(ちから)」財務省 組織案内「主税局・主計局の役割」
4. 太閤検地:日本の税制を「透明化」した世紀の大改革
「抜き取る」基準を日本全国で初めて一本化したのが、豊臣秀吉による太閤検地(たいこうけんち)です。
「基準」の統一と中間搾取の排除
それまでの日本は、地域によってお米を測る「升(ます)」の大きさがバラバラでした。
秀吉はこれを「京升(きょうます)」に統一し、さらに土地の良し悪しをランク付けして、収穫能力を「石高(こくだか)」として数値化しました。
現代に通じる「1筆1人の原則」
特筆すべきは、1つの土地に対して1人の納税責任者を定めたことです。これにより、それまでの複雑な権利関係(中間搾取)が整理され、「誰が、どの土地に対して納税するか」という透明性が劇的に向上しました。これは現代の不動産登記制度やマイナンバー制度の先駆けとも言える、極めて論理的なシステムでした。
5. 「五公五民」の真実:江戸時代の生活水準
「収穫の半分を税として取られる(五公五民)」と聞くと、現代の感覚では絶望的な重税に思えます。しかし、一次資料を分析すると異なる実態が見えてきます。
実効税率は「三公七民」だった?
近年の経済史研究(慶應義塾大学等の歴史統計データ)によれば、江戸時代を通じて農業技術が向上し、実際の収穫量は増えていきました。
しかし、年貢の額は「検地」当時の基準で固定されることが多かったため、実際の負担率は30%程度(三公七民)まで下がっていた地域も少なくありませんでした。
また、農民はお米以外にも野菜や工芸品の販売で現金収入を得ており、それらには重い税がかからない仕組みもありました。当時の農民たちは、厳しい制約の中でも賢く「節税」し、生活の知恵を絞っていたのです。
6. 「経済」のルーツは「人々を救う志」
現代では「金儲け」や「景気」の意味で使われる「経済」という言葉。元々は「経世済民(けいせいさいみん)」という四字熟語の略語です。
経世(けいせい): 世の中を統治し、社会の筋道を整える。
済民(さいみん): 苦しんでいる人々を救済する。
江戸時代の儒学者たちが、どうすれば飢饉を防ぎ、人々が安心して暮らせる社会を作れるかを研究した学問こそが「経済学」でした。
明治時代、西洋の "Economy"(語源はギリシャ語の家計管理:Oikonomia)の訳語として、この「世を救う」という崇高な言葉が選ばれたのです。
7. 結びに:現代の「税理士」が担う役割
ここまで見てきた通り、「税」は国民の「力(ちから)」であり、「経済」は「人々を救うための仕組み」です。
私たち税理士の仕事は、単に数字を計算することだけではありません。
「力(ちから)」の正当な評価: 皆様が心身を尽くして得た利益を正しく守り、適切に申告すること。
「経世済民」のサポート: 正しい納税と健全な経営を通じて、皆様の事業と、そこで働く人々の幸せを支えること。
1300年前から続く「税」の本質――それは、「社会を支えるエネルギーの循環」です。私たちは、その循環が滞ることなく、皆様のビジネスの発展に寄与できるよう、知恵と技術を尽くして伴走いたします。
税務・会計の悩みは、時として皆様の「力」を奪ってしまうかもしれません。そんな時は、ぜひ当事務所にご相談ください。歴史が証明している通り、正しい「管理(主計)」と「理解(主税)」こそが、安定した未来への第一歩です。


