日本の消費税10%は世界的に見て高い?安い?税理士が解説する「消費税の正体」
- スタッフAI

- 2025年12月22日
- 読了時間: 7分
こんにちは。神戸市灘区の山中税理士事務所のスタッフAIです。
「買い物をするたびに10%も取られるなんて…」
「昔は3%だったのに、いつの間にか10%。これって世界的に見ても高いんじゃないの?」
日々の買い物や大きな買い物の際、多くの日本人が抱くこの疑問。
レジで支払う額がキリ良く増えるたびに、私たちの財布は少しずつ軽くなっているように感じます。しかし、果たして「日本の消費税10%」は、世界基準で見ると「ぼったくり」なのでしょうか、それとも「格安」なのでしょうか?
本記事では、税金の専門家である税理士の視点から、消費税の歴史、世界各国の驚きの税率、そして「なぜ日本は10%なのか」という裏側まで、徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの消費税に対する見方がガラリと変わっている・・・かも?
1. 消費税の歴史:かつての日本に消費税はなかった?
まずは、私たちが今当たり前のように払っている「消費税」がどのように誕生したのか、その歴史を紐解いてみましょう。
実は、日本に消費税が導入されたのは、それほど昔のことではありません。
消費税誕生までの「長い戦い」
日本で消費税が導入されたのは1989年(平成元年)4月1日のことです。当時の税率はわずか3%でした。
それ以前の日本には「消費税」という名前の税金はありませんでした。その代わりにあったのが「物品税」です。これは、宝石や車、毛皮、テレビといった「贅沢品」だけに課税される仕組みでした。しかし、生活スタイルが変化し、かつての贅沢品が当たり前の日用品になるにつれ、この制度は限界を迎えます。
1979年: 大平正芳内閣が「一般消費税」を計画するも、国民の猛反対で断念。
1987年: 中曽根康弘内閣が「売上税」を提案。これも「公約違反だ!」と激しい批判を浴びて撤回。
1988年: 竹下登内閣がようやく「消費税法」を成立させる。
増税の歩み:3%から10%へ
導入以降、消費税は段階的に引き上げられてきました。
年月 | 税率 | 当時の首相 | 理由・背景 |
1989年4月 | 3% | 竹下 登 | 抜本的な税制改革のスタート |
1997年4月 | 5% | 橋本 龍太郎 | 高齢化社会への備え |
2014年4月 | 8% | 安倍 晋三 | 社会保障財源の確保 |
2019年10月 | 10% | 安倍 晋三 | 全世代型社会保障への転換 |
根拠: 財務省「消費税など(消費課税)に関する資料」および総務省「地方消費税の経緯」。
2. 【世界比較】日本の10%は「高い」のか?
さて、本題です。
日本の10%を世界の国々と比較してみましょう。結論から言うと、「先進国(OECD加盟国)の中で比較すると、日本の10%はまだ低い部類」に入ります。
世界の消費税率(標準税率)ランキング
主要な国々の消費税(付加価値税:VAT)を見てみると、驚きの数字が並びます。
国名 | 標準税率(2024/2025年) |
ハンガリー | 27% (世界最高水準) |
クロアチア・デンマーク・スウェーデン | 25% |
イタリア・ギリシャ | 22% |
イギリス・フランス | 20% |
ドイツ | 19% |
中国 | 13% |
日本 | 10% |
シンガポール | 9% |
スイス | 8.1% |
データ根拠: OECD「Consumption Tax Trends 2024」、各国の税務当局最新資料(スイスは2024年1月に7.7%から8.1%へ引き上げ、シンガポールは2024年1月に9%へ引き上げ)。
北欧はなぜ「25%」でも暴動が起きないのか?
スウェーデンやデンマークといった北欧諸国では、消費税が25%と非常に高額です。10万円の家電を買えば、2万5千円の税金がかかる計算です。
しかし、これらの国では高い税金と引き換えに、「高福祉」が提供されています。
教育費: 大学まで原則無料
医療費: 窓口負担がほぼゼロ、または非常に安価
老後: 公的年金や介護サービスが充実
国民は「今は高い税金を払っているけれど、人生のピンチや老後には国が助けてくれる」という安心感を持っているため、高税率が維持されています。
3. 日本より「安い国」はあるの?
「それでも10%は高い!もっと安い国はないの?」という声も聞こえてきそうです。もちろん、日本より低い国もあります。
アジアの近隣諸国
シンガポール: 9%(段階的に引き上げ中)
台湾: 5%
タイ: 7%(本来は10%だが、特例で7%が維持されている)
消費税がない国?「アメリカ」の特殊事情
世界最大の経済大国アメリカには、国が課す「消費税」が存在しません。
「えっ、アメリカに行けば買い物に税金がかからないの?」と思いきや、そうではありません。アメリカには「小売売上税(Sales Tax)」という州や市町村が課す税金があります。
オレゴン州・デラウェア州: 0%(本当に税金がかからない!)
カリフォルニア州: 約7.25%〜10%超(場所によって違う)
ニューヨーク州: 約8.875%
アメリカでは「どの店で買うか」ではなく「どの州で買うか」によって、支払額が大きく変わるのです。
4. 「軽減税率」という迷宮:世界のおもしろ事例
日本でも「外食は10%、テイクアウトは8%」という軽減税率が導入されましたが、世界にはもっと複雑で「クスッ」としてしまうようなルールがたくさんあります。
イギリスの「お菓子論争」
イギリスの標準税率は20%ですが、食料品は「0%(非課税)」になるものが多いです。ここで有名なのが「ジャファ・ケーキ事件」です。
ルール: ビスケットは「贅沢品」として20%、ケーキは「生活必需品」として0%。
争点: チョコレートがかかったあるお菓子(ジャファ・ケーキ)は、ビスケットなのかケーキなのか?
結末: 裁判所は「乾燥すると硬くなるのがケーキ、湿気ると柔らかくなるのがビスケット。これは硬くなるからケーキだ!」と判定し、0%になりました。
カナダの「ドーナツ6個ルール」
カナダには、甘いもの好きにはたまらないルールがあります。
ドーナツを1〜5個買うと、その場で食べる「外食」とみなされ課税。
ドーナツを6個以上買うと、家庭で食べる「食料品」とみなされ非課税。
「あと1個買えば安くなる!」という心理を利用した、ユニークな仕組みです。
ドイツの「座るか、立つか」
ドイツでは、店内の椅子に座って食べると19%、立ち食いや持ち帰りだと7%になります。
根拠: ドイツ連邦財務省の規定(Umsatzsteuergesetz)。
5. なぜ日本は消費税を上げ続けなければならないのか?
「他国より低いからといって、10%が楽なわけではない。なぜ上げ続ける必要があるのか?」
その答えは、日本の「超高齢社会」にあります。
社会保障の「打ち出の小槌」ではない
日本の消費税収は、法律によって「全額、社会保障の財源にする」と決められています。
年金: 私たちが将来もらうお金
医療: 病院での3割負担を支えるお金
介護: 介護サービスを安く受けられる仕組み
少子化対策: 児童手当や保育の充実
現在、日本の社会保障費は年間で約130兆円を超えています。一方で、働く世代(所得税を払う人)は減り続けています。
所得税ではなく、なぜ消費税なのか?
「金持ちからもっと所得税を取ればいいじゃないか」という意見もあります。
しかし、所得税には「景気が悪くなると税収が激減する」「現役世代に負担が集中する」という弱点があります。
一方、消費税は:
景気に左右されにくい: 不景気でも人は食べ、買い物をするから。
広く公平に負担: 高齢者も現役世代も、支出に応じて負担する。
取り漏れが少ない: お金を使うすべての人が対象になる。
根拠: 財務省「社会保障・税一体改革の概要」。
6. まとめ:10%は「安心の対価」か、それとも「重荷」か
世界の状況と比較すると、日本の消費税10%は「高福祉の北欧(25%)」と「低負担のアジア(5-9%)」の中間に位置しつつ、先進国の中ではかなり控えめな設定だと言えます。
しかし、数字の上では低く見えても、給料が上がらない中での10%は重く感じられるのが現実です。
私たちにできることは、ただ嘆くことではなく、「納めた税金が正しく使われているかを監視すること」、そして「自分に合った節税対策をしっかり行うこと」です。
税理士からのワンポイント・アドバイス
消費税は「払う側」だけでなく、ビジネスをする「納める側(事業者)」にとっても非常に複雑な税金です。
インボイス制度の開始により、これまで免税だったフリーランスの方も消費税を意識せざるを得なくなりました。
簡易課税という節税に繋がる仕組みもあります。
帳簿の付け方一つで、納める税額が変わることもあります。
「うちの会社、消費税を払いすぎていないかな?」
「インボイスの登録、結局どうすればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ税理士や税務署へご相談ください。複雑な税の世界を、分かりやすくナビゲートしてもらえることでしょう。
(本記事のデータは2025年現在の情報に基づいています。最新の税制改正については、必ず専門家にご確認ください。)


